色川武大
団鬼六のこと書いてたら、このヒトのことも書きたくなってきたので書く。
ともにアウトローとか無頼とかいわれ、かたやSM小説かたや賭博小説で一斉を風靡した作家。
時代に誤差はあれ、戦時下に少年時代を過ごしてきた2人。
だからといって、2人の境遇が似ているわけでもないし、作風が似ているわけでもない。
が、不思議に『似ている』という印象を受けてしまう。
大衆・娯楽小説の中でも、かなり極端な分野で活躍したもの同士、
独特でありながら読みやすい文体がそう思わせるのかもしれない。
もちろん、大きくくくればくくれないことはないが・・・
より陰鬱なイメージがあるのはやはり色川武大。
確かに名作でいい作品だが、すごすぎて何度も読むべきでないと思わせる
狂人日記や、賞をとった
怪しい来客簿が有名なわけですが・・・
『ひとり博打』という短編がすげぇ。
のに。
どういうわけか、色川武大名義で発表されているはずのこの作品が、阿佐田哲也名義の短編集でしか発表されてない・・・
と思ったらこっちの全集に入ってた。
それでも、全集でしか集録されてないってどうよ?
とも、思うわけで。
『
右の掌をよい形にして机の上に立ててみると、力士の誰それに似ていることに気がついた―』
に始まるひとり遊びの情景は、もはや『遊び』とはいえない迫力で向かってくる・・・確かに阿佐田哲也名義に分類したくもなるかもしらんが・・・
あと、あんまり知られてなさそーで勿体無いのが
虫喰仙次 。福武の装丁はキレイでステキ。