初版は2006年の9月。
2005年に15勝4敗、防御率2.17と抜群の成績を残し、マリーンズの日本一およびアジア1位に貢献したが、翌2006年は5勝11敗防御率4.35と不調。
だもんで思わず、
「
こんなの書いてる場合か!」
と、激昂しながら購入。(←ナニソレ)
本書にも、
「今期は成績が悪くてうんぬん、これからのために新しいスタイルの模索をかんぬん〜」
とか書いてあるし、もちろんWBCについての記述もあるので、おそらく、執筆時期も2006年の春先から夏にかけてだと思われる。
2005〜06年の渡辺俊介というのは、
・まず、2005年のシーズン
・さらにプレーオフ
・アジアシリーズ
ここまでで2005年の11月。さらに、
・2006年からボークの判定が厳しくなるため、2段モーション気味の渡辺俊介はフォーム改造を余儀なくされる
・WBCに向けて早めの調整
・WBC出場。
・WBC後すぐ日本のシーズンに合流
WBCでの先発は、松坂・上原・渡辺だったため、全面的に先発投手としてこのスケジュールをこなしたのは渡辺俊介ただ一人だった。
本書でも他の選手の言として書かれているが、2006年のシーズンも2005年と同じ23試合に登板しているので、もっとも過酷な2年間だったんではなかろうか。
(ちなみに同じマリーンズでは藤田・藪田が中継ぎとして帯同。薮田にいたっては2005年には55 2/3イニングで防御率3.07、WBCでは2.08、2006年も55イニングで2.62だった。バケモノ?)
そんな中で書かれたのがこの本。
なんというか、全体に素朴というか純朴げな文体。
お世辞にも上手いとはいえない文体だが、書き手が正直に読み手にわかりやすく伝えようとする姿勢が伝わり、好感がもてる。実際に本人がどういう形で書いてるかはわからないが、まぁゴーストってことはないだろう。(この文体でもしもゴーストなら、それはそれで脱帽)。
いかにアンダースローになったか、プロで成功するまでにどんな紆余曲折があったか、そういう話が淡々と語られています。本人以外にも、彼に係わってきた人達の言もあったり・・・持ち上げに終始してしまっているところもあるが、品性のない暴露系の本よりよっぽどましかと。
正直、技術論的にはそれほどでもないが、現役野球選手本人のこういう本はわりと珍しいので、野球好きにはオススメ。